純文学小説投稿サイト jyunbun 投稿小説番号042
『二度と見られぬ朝日』
六月六日午後12時00_
パソコンを打つ音だけが部屋に響く……
パソコンでメールを送った。
「今日も暑い日だった……_」
メールを打ち終え、パソコンの電源を切ろうとしたときだった。ガタン! その音に驚いて立ち上がった。しかし、ボールが落ちた音だった。
「何だ……ボールか……」と、思わず呟いた。夜も遅いので、寝る事にした。しかし、布団に入ったその時、ガタン! さっきよりも大きな音が鳴り響いた。不審に思い、一階へと降りた……そこには、倒れた大きな黒い影と、一面には赤い液体が流れていた……。その時、とっさの余り、血だと悟った……あまりにも驚いて、あわてて電気を点けた。そこにあったのは、誰だかわからない、見慣れないおじさんだった。そして……ゴソゴソ! 誰かが逃げるような足取りで歩いていくのが分かった。慌てて後を追った。そこには、血の付いたナイフを持った男が居た……。
「見たな……」男はかすれた声で言った。「お前……見たな!」かすれた声ではあったが、迫力のある声だった。男はこちらに向かって走ってきた! 手にはナイフがあった。1度向かってきた時は、かろうじて避ける事が出来たが、2度目も避けられるとは限らなかった。男の突進を避けた後、必死で外に飛び出した。まだ暗かった。
――六月七日午前1時00分――
やっとの思いで、交番にたどり着いた。しかし、そこには警察は居なかった……。後ろを振り返ると……さっきの男が立っていた。
男は不気味な、かすれ声で言った……「みーつけた!」
余りにも驚いて、足の力が抜けてしまった……。「もう……ダメだ……」。
そのまま男に捕まえられて、そのまま車に乗せられた……。着いた先は、廃病院の「精神治療病院」と、言われる15年前に廃虚化した病院だった。何度か、この廃虚には興味を持って個人的に来ていた病院だった。そのため、この病院の地図を作った事もあったほど、この病院の事は、よく知っていたが、なぜ病院が廃虚化したかまでは分からなかったが……。
男はそのまま手術室に連れて行き、ベットに縛られた。
男が喋り出した。「俺も昔、この病院に入院させられていた。この病院が廃虚化したのは俺が、ここの人々を、当時入院していた全員の患者に手伝ってもらい、ここの病院関係者を全員地下に閉じ込めたんだ!」この話を聞いて、なぜ廃虚化したのか、やっと話がつながった。それとともに、ここを抜け出す方法を考えついた。
「すいません、トイレに行きたいんですが……」男は、それを聞いて、すぐさまトイレに連れて行ってくれた。そこで、男を振り払って逃げ出した。
助かったー。しかし……男が目の前に現れた。「どうやら、俺よりもこの病院について詳しくないようだね……」
確かに、遠回りだったかもしれない。男が近寄って来て、ナイフを取り出した。
――六月七日午前2時00分――
男に刺されてしまった。
その場に倒れこみ、意識が無くなっていった……。
男は足早にその場を去っていった。
――一週間後――
死体が発見された。しかし、自分の死体は見つからなかった。
最初にナイフで殺されたのは、地元の警察官だった事が判明した。
しかし、男の足取りは未だに分かっていない……。
この物語はフィクションです。人名、団体名は架空の物です。