純文学小説投稿サイト jyunbun 投稿小説番号200 『星の鎮魂歌 月の恋歌』 まだ、人間がこの世にいない頃・・・ 空 月 星 だけが存在していた頃・・・ そこから始まる、初めての悲恋話・・・ 今夜は、星たちが泣いている・・・気がする 月を想い・・・泣いている・・・そんな気がする 星は、月に恋をした。一人で淋しそうに輝く、金色の月に恋をした。 でも、月は・・・。   「空が好きなんだ」 とポツリ、漏らした。 思わず、星はウソを言った。 「空は死んだよ・・・」 月は酷く、驚き、酷く、悲しんだ 金色の月は、蒼い悲しみの色をした月に変わった。 星は必死で励ました そんな時・・・ 蒼い悲しみの月は、それに似合った、悲しみの鎮魂歌をささげていた 美しい月の声音に、星は涙した。 月の深い、深い、悲しみに自分の欲にまみれたウソが 憎くなった。 そして、星もささげた 月への恋歌を・・・ そして、月の返事は・・・ 予想通りだった 「ごめんなさい、貴方の気持ちには答えられません」 星は切なくなった。 「どうして?僕のこと・・・嫌い?」 「嫌いじゃ・・・ないです」 「じゃあ、どうして?!」 「空さんが・・・好きなんです」 それから、月は星を避けた。 星は哀しくなったが、月の見えるところで輝き続けた。 月に負けないくらいに・・・必死に輝き続けた。 それから・・・ 何百年と時が経った 月は未だに空を忘れられず・・・ 星は未だに月への想いを抱き続けていた だから・・・ 最期に・・・ 星は月に、恋歌をささげた 月は、哀しそうな顔をして、以前と同様な答えを返してきた。 「ごめんなさい、貴方の気持ちには答えられないです」 星は哀しそうに微笑み、本物の空への鎮魂歌をささげた 翌日 星は・・・ 死んだ・・・ 月に一通の手紙を遺して・・・ 「月へ これを読んでいるということは、僕はもう、死んでいるのかな?神様に呼ばれ、天使のお手伝いをしているのかな。君にこうして、改めて、手紙を書いたのは、君に僕の犯した罪を知ってもらいたいから  僕は君にウソをついた。空は死んでいない。生きているよ。君の流した涙、哀しい気持ちに、僕は苦しくなった 切なくなった。だから、君へ、恋歌をささげた そして、空に鎮魂歌をささげた 偽りの でも、君は空への想いを断ち切れなかった、でも、それは一途でとても、美しいこと。 だから、失くさないで、その人を想う素直な気持ちを、愛を 忘れないで、失くさないで  君の良いところの一つなんだから 最期に一つ・・・僕は君に永遠に恋歌をささげることを誓うよ。 たとえ、君が僕を憎んでいても・・・ さようなら、愛しの月」 月は、ささげた。 星へ鎮魂歌を・・・ 美しく哀しく深い 鎮魂歌を 初めて、星にささげた・・・
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