純文学小説投稿サイト jyunbun 投稿小説番号196 『一筆書き』 多分自分は変わってしまったのだ。 古書の山を眺めて、そう思った。 多分。 そう言って何かが違うと思い、しばらく言葉を頭の中で探した。 飲みかけのガラナのペットボトルの水をつぎ足しに階下に行き、登って、また古本の山を見ると、 多分、永久に、しばらくは。 と言う言葉が浮かんだ。 からからの喉に水を流し込むと、多分、永久に、しばらくはと言う事について少し考えた。 オーケー、もう終わった事じゃないか。 自分は古本を無印良品のスポーツバックに詰め込むと、ブックオフに向かって歩き始めた。                 ☆   英会話学校では、だいぶ、リスニングは上達した。だが、まだ言葉を紡ぐのが下手だ。外国人教師の貧乏揺すりも気になる。しょっちゅう、シャープペンシルをいじっているのも気になる。何が彼をそんなにナイーブにさせているのだろう? 考えている内にフリーレッスンは終わった。一対一の機会はもうしばらく無いだろう。 そう多分、永久に、しばらくは。                 ◎ アマゾンからの本を棚に整理した。整然として機能美にあふれる本棚だ。 勿論それ以外は雑然としている。 だがそこには何かが欠けていた。 しばらく考えた。 リアル。 とおもいついた。 リアルがない。リアリティがあってもリアルがない。 これじゃ今までと一緒じゃないか。 と自分は一冊の本をぱらぱらとめくった。 度し難いな。 リアル。 血がたぎった。 まあ、お決まりの通りだが敢えて、多分、永久に、しばらくは。 で終わらすことはしない。 天下を取る。 躁鬱病の薬を口に放り込んでかじった。
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