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純文学小説投稿サイト jyunbun 投稿小説番号$konopage $dai  これは奇跡の物語である。 私はとにかくここから出たい。そういう思いを持っていた。私を含めた我々同胞達は自分が自分がと同胞を蹴散らし前へと進んでいた。私も同胞達を何とか押しのけ大分前のほうにまで来れた。速く出たい。とにかく速く出たい。私の中にはその感情だけだった。さっきから激しい揺れを起こす我々のイレモノはだんだんとその激しさを増していた。近い。私はそう感じた。同胞達もそう感じているのだろう。今回は絶対に出るのだと皆が前へ前へと押し寄せる。私は絶好の位置をキープしていたので後ろに押し戻されないように必死であった。久しぶりの外へ出られるチャンスなのだ。今を逃がしてはもうチャンスはやってこないかもしれない。続けてすぐにチャンスがやって来る日もあるが、そんなものは我々には解るすべもない。だから今のチャンスを我々は必死でものにしようと頑張るのだ。弱弱しいやつが私を引っ張ってきた。私はすぐさまそいつを払いのけた。残念ながらお前のような弱弱しい奴は外へ出ても駄目だろう。ここに来て一番前へ出る事が出来る奴こそがここから出る権利を得れるのだ。外には何があるか解らない。しかし、私の本能はここを出たい一心のみだ。同胞も皆、同じだろう。我々を入れたイレモノはもうすぐ激しさのピークに達しようとしている。許せ。私は同胞達を最後の力を振り絞って後ろへと引きずり出した。  よりいっそう大きな振動が起こった。と同時に私の前に居た同胞達が勢いよく外へ飛び出して行った。しまった。まだ前に出ていなければならなかったのだ。そう思った次の瞬間、私も外へと勢いよく投げ飛ばされた。私は至福の思いでいっぱいであった。やったのだ。遂にあそこから出られた。私はやったのだ。だが、その喜びも束の間、私に新たな感情が生まれた。前へ進まなければならない。そこは真っ暗であった。一体どこに進めばいいか全く解らなかったが、とにかく私は進まなければならない思いでいっぱいであった。先に飛び出した同胞達は既にかなり先に居て、今度こそ一番前にならなければならないと思った。前の方ではいけないのだ。一番前なのだ。  とにかく私は暗い中を前へ前へと急いだ。後からイレモノから出てきた同胞も一番になろうとやってくる。しかし、進み出して気付いたがなんともここは息苦しい。前のイレモノから私は出たい、出たいと思っていたが、今私は再び戻りたいと思っていた。しかし、もう戻れない事は感じていた。私の前には闇しかなかったからだ。とにもかくにも前へ進まなければならない。イレモノから出てゴールではないのだ。きっとこの先にある何かに辿り着くのがゴールに違いない。だから同胞達も必死で前を目指しているのだ。私も負けてはいられない。立ち止まったらもう動けなくなりそうだ。  前へ進んでいると。前の方に何かがあった。私はそれに恐る恐る近づいた。それは倒れた同胞だった。辺りを見回すとあちらこちらに無数の同胞達の屍が転がっていた。彼らは立ち止まってしまったのだ。それは死を意味する事を解っていたが、彼らは立ち